高温域における石炭・水スラリーのレオロジー特性
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概要
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石炭・水スラリー (以後CWMと略す) は, 粉砕した微粉炭を水と混合して固体としてのハンドリングの固難性を克服し, タンクによる貯蔵やパイプライン輸送などを可能とする新しい石炭利用技術の一つである.実用化のためには, 周知のごとく, 高濃度でしかも沈降性のない安定な低粘度CWMを製造することが不可欠であり, 流動特性に及ぼす炭種や粒径分布の影響, 添加剤や安定化剤の開発, CWMの伝熱特性の検討などについて, わが国を始め世界各国で研究が進められている.<BR>このうちCWMの流動特性の温度変化は, パイプラインの保温や燃焼炉, ガス化炉直前におけるCWMの予熱など, 寒冷地におけるCWM利用や熱効率の向上などの観点から重要な問題であり, 著者らはCWMの伝熱特性やCWMの沸騰気流層化に関して先に報告してきた.しかし, これらの基礎となる高温域におけるレオロジー特性に開しては, Usuiらの研究があるのみでほとんど明らかにされていない.UsuiらはCWMの見かけ粘度をパイプライン粘度計を用いて423Kまでの温度範囲で測定し, 粘度が約343Kまでは溶媒である水の粘度低下に伴って低下すること, またそれ以上の温度では粘度が急激に上昇し423Kで管が閉塞し測定不能になったことなどを報告しているが, その機構の詳細な検討までには至っていない.<BR>本研究では, 高温高圧型の回転粘度計を用いて298Kから498Kまでの温度範囲のCWMの流動曲線を測定し, 昇温過程におけるCWMの流動特性を実験的に明らかにした.また, コロイド分散系に適用されている<I>D.L.V.O.</I>理論に基づき粒子間に作用する力と分散系の安定性の関係から温度依存性を検討したので, 以下に報告する.
- 社団法人 化学工学会の論文
著者
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二宮 善彦
東京農工大、工
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平戸 瑞穂
東京農工大、工
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森 俊之
千代田化工建設 (株)
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平戸 瑞穂
東京農工大
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平戸 瑞穂
東京農工大学工学部 物質生物工学科
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二宮 善彦
東京農工大学工学部 物質生物工学科
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