勝負事態における勝敗決定時の表情筋筋電図の時系列的変化
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概要
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本報告は,勝負事態における勝敗決定直後の表情変化を表情筋筋電図の加算平均法によって検討した。<BR>実験1は,10名の被験者による,大きい数字を出したほうが勝ちというヒューマンーマシン対戦型勝負事態における勝ち決定直後,および,負け決定直後の表情の変化を前頭筋,皺眉筋,大頬骨筋の3部位のfEMGを使用して検討し,勝ち―負けという随伴性に関する条件差は認められなかったが,個人に特有の表情変化(個人的情動行動)の存在が示唆された。<BR>実験2は,マルチ・ベースライン法を用いて,6名の被験者による数字決定ゲームにおける勝ち決定直後,および,負け決定直後の表情変化を前頭筋,皺眉筋,後耳介筋を使用して検討し,約1000msに勝ちという随伴性に関連した大頬骨筋筋電図の増大が見られるという結果が得られた。<BR>この実験間の結果の差は,勝負事態(随伴性)の違いによるものと考えられ,今後,平均表情筋筋電図(AfEMG)を使用した表情変化の研究は,被験者内で再現性のある事態と被験者間でも共通の表情変化が制御される事態を検討していく必要がある。