β-TCP含有チタンの実験的研究
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概要
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要約:脊椎椎体間固定には自家骨移植にケージやプレートによる内固定が併用されることが多い.自家骨採取は他の健常部に新たな侵襲を加える必要があり疼痛や出血,感染などの合併症も少なくない.自家骨移植に替わる生体材料としてHAやβ-TCP,Titanium Fiber Mesh Block(TFMB)などが臨床応用されている.HAやTFMBはそれ自体が骨に置換されないため長期成績は不明である.一方,β-TCPは骨吸収がすすむと骨に置換されるがプレートを併用してもβ-TCPブロック単独では強度不足である.今回われわれは強度不足を補うためβ-TCP粉末にチタン粉末を複合化し椎体間移植に十分な強度を持つ成形体を作製した.成形体の圧縮強度はβ-TCP含有率が30%以下では脊椎椎体間固定に使用できる強度を有していたが,30%以上では作成過程で成形体が十分固化されなかった.実験では,100vol. % Ti,チタンに対してβ-TCP含有率が5%,20%,50%を有するβ-TCP/Tiおよび100vol. %β-TCPを使用した.まずこの成形体の生体親和性試験を行い親和性に問題がないことを確認し,うさぎ脛骨に骨欠損を作成し移植した.移植後16週で脛骨を摘出し三点曲げ試験を行った.また術後8週,16週の時点で成形体と骨の境界面を走査電子顕微鏡で観察した.三点曲げ試験の結果β-TCP含有率が低くなるほど曲げ強度の平均応力は増加した.走査電子顕微鏡像では100vol.%β-TCPは8週ですでに骨と成形体の間隙はなく癒合していたが5vol.%β-TCP/Ti,20vol.%β-TCP/Tiの成形体では8週の時点では間隙が存在していたが8週から16週の間で癒合していた.走査電子顕微鏡像からもβ-TCP含有率が高いほど成形体は早期に移植部で安定するが成形体が移植部で安定しない場合は長期間micromovementが存在することになり化骨形成が促進される.この結果,化骨の影響をうけてβ-TCP含有率が低いにもかかわらず平均応力は高くなったと考えられた.今回の成形体は100μm以下の比較的小さな気孔を有しているがこの気孔の中にβ-TCPの粉末が入り込み固化されたため気孔率が統一されなかった.今後もっとも最適なβ-TCP含有率,気孔率を求めるには気孔率を統一した,より大きな成形体を作製しさらに長期間移植を行い化骨の影響を受けない引張強度を計測する必要があると思われた.
著者
-
武石 洋征
千葉工業大学
-
平泉 裕
昭和大学医学部整形外科学教室
-
宮岡 英世
昭和大学整形外科
-
宮岡 英世
昭和大学医学部整形外科学教室
-
宮岡 英世
昭和大学整形外科学教室
-
宮岡 英世
日本鋼管病院 整形外科
-
宮岡 英世
昭和大学 整形外科
-
宮岡 英世
昭和大学医学部整形外科
-
古森 哲
昭和大学医学部整形外科学教室
-
平泉 裕
昭和大 医 整形外科
-
片岡 有
昭和大学歯学部歯科理工学教室
-
雫 弘晃
千葉工業大学大学院
-
吉村 賢志
千葉工業大学大学院
-
朝生 悟史
千葉工業大学大学院
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