根治的膀胱全摘術の治療成績
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概要
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1983年10月から1990年12月までの7年3ヵ月間に, 山梨医科大学において68例の原発性膀胱癌に対し, 根治的膀胱全摘術を施行した. 16例は表在癌で, あとの52例は浸潤癌であった. 浸潤癌52例中, 18例に補助療法が加えられた. 補助療法としては methotrexate, cisplatin 併用化学療法, 放射線療法, あるいはこの両者が用いられた. 2例で術前化学療法が施行された以外, 他のすべての補助療法は術後に施行された. 23例に再発を認め, 25例が死亡した. 20例は膀胱癌死であり, 5例は他因死であった. 膀胱癌死の20例中17例 (85%) は術後2年以内に死亡した. 5年生存率はpTa-pT1 92%, pT2 83%, pT3a 80%, pT3b 24%, pT4-T4 43%であった. pT3aとpT3bの生存曲線間に有意差 (p<0.05) を認めた. pT2-pT3aかつpN0の場合, 19例中18例で補助療法が施行されなかったにもかかわらず, 5年生存率は89% (95%信頼限界75〜100%) と良好であった. 一方, pT3b-pT4かつpN0の5年生存率は低く (25%), 深達度にかかわらずリンパ節転移を有した症例の5年生存率 (35%) と同程度であった. 腫瘍が膀胱筋層内に限局している症例の多くは, 手術のみでほぼ根治でるように思われた. したがって, 重篤な副作用を有する補助化学療法は, こうした患者に対しては, 正当化できないように思われた. しかしながら, 腫瘍が膀胱壁を貫いたり, リンパ節転移を有する症例では, 有効な補助療法が必要であると考えられた.
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