下大静脈に進展した腎細胞癌に対する外科的治療
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概要
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1985年から1992年の8年間に広島大学医学部附属病院泌尿器科において, 9例の下大静脈に進展した腎細胞癌に対して腫瘍血栓摘除術および根治的腎摘除術を施行した. 年齢は50歳から76歳 (平均63.6歳) で, 性別は男性6例, 女性3例, 右腎7例, 左腎2例であった. Novick の分類にしたがった腫瘍血栓の範囲は, レベル-1: 3例, レベル-2: 2例, レベル-3: 2例, レベル-4: 2例であり, 手術時に遠隔転移が2例に認められた.レベル-1の3例は下大静脈切開で腫瘍血栓を摘出でき, 手術時間は最短で出血量も少量であった. レベル-2および3の3例は, 肝の脱転操作が必要で手術時間の延長と出血量の増加がみられ, 1例が術中肺塞栓を併発し死亡した. レベル-4の2例は心肺バイパス, 超低体温, 循環停止の併用により手術時間は延長したが出血量はむしろレベル-2や3の症例より少なかった. 術後の合併症では腎機能障害が2例, 肝機能障害が2例に認められた.8例中5例 (62.5%) が平均34ヵ月 (8から95ヵ月) 生存し, 遠隔転移の認められた1例が術後4ヵ月で, 周囲脂肪織への浸潤が認められた2例が23ヵ月と24ヵ月で癌死し, 1年生存率は88%, 3年生存率は44%であった.下大静脈に進展した腎細胞癌に対する拡大手術は近代的な心臓外科技術の導入により安全に行えるようになったが, 適応となる症例を慎重に選んだ上で行う必要がある.
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