老人性痴呆に見られる尿失禁患者の脳X線CTによる解析 : 脳萎縮, 脳循環障害と尿失禁の関連について
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概要
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老人性痴呆患者の尿失禁の病態解明目的に, 脳X線CT所見より得られた脳循環障害の所見ならびに脳萎縮の重症度と尿失禁の程度との関連を検討した.対象患者は老人性痴呆で入院中の脳血管性痴呆74名, アルツハイマー型老年痴呆10名, 混合型8名で計92名 (54歳〜95歳, 平均80.3歳) である. 尿失禁の程度は尿禁制18名, 中等度失禁16名, 全失禁58名であった. CT所見上の脳循環障害の程度は側脳室周囲低吸収陰影 (PVL) によって評価し, 脳萎縮の程度は Lateral body ratio, Huckman number, Evans ratio, 蜘蛛膜下腔開大度の4種で評価した.側脳室周囲低吸収陰影 (PVL) が92名中31名に存在し, そのうち27名に尿失禁が存在し, 失禁とPVLの間には強い相関関係 (p<0.001) が認められた. Lateral body ratio は失禁の重症度が上昇するに従い24.8, 27.8, 28.6, と上昇し (p<0.05), Huckman number も18.3, 19.3, 21.3, と上昇し (p<0.05), Evans ratio も29.9, 32.3, 33.7と上昇した (p<0.05). また, 蜘蛛膜下腔開大度も尿失禁と相関を認め, いずれの脳萎縮の評価基準でも脳の萎縮と尿失禁の出現とは関連がみられた.これより老人性痴呆患者の尿失禁は脳萎縮に関連があり, 脳循環障害に強く影響を受けていることが示唆された.
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