男子不妊症患者における前立腺超音波断層法の検討
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概要
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男子不妊症患者380名を対象として, 経直腸的前立腺超音波断層法で得られる前立腺内部エコー像の不整, 前立腺被膜エコー像の不整および Santrini 静脈叢に相当すると考えられている前立腺周囲無エコー領域の拡張の3つの所見に関して, 男子不妊症診断上における有用性を検討した.超音波上の内部エコー像の不整は, 慢性前立腺炎が主な原因とされている膿精液症の存在した患者群 (n=20) のうち2名 (10.0%) に認められ, これは非感染精液患者群 (n=285) の23名 (8.1%) と差がなかった. また被膜エコー像の不整の出現頻度についても膿精液症群が5名 (25.0%), 非感染精液群が52 (18.2%) と, 同様に差が認められず, これらの所見の膿精液症に対する診断的意義は少ないものと結論された.中等度以上の前立腺周囲無エコー領域の出現頻度は, 膿精液症群 (n=21) で9名 (42.9%), 精索静脈瘤群 (n=75) で32名 (42.7%) あり, 両疾患を認めなかった患者群 (n=203) の69名 (34.0%) に比し高かった. さらに, 精索静脈瘤群で高度の拡張を認めたものが9名 (12.0%) と多く存在し, 正常群の5%にくらべて有意差を認めた. 精索静脈瘤の臨床的グレードと同領域の拡張度の間には相関は見られなかった, しかし, 精索静脈瘤に対する手術後に同領域の拡張に改善の見られた症例が2例見られ, 精索静脈瘤の存在と, 同領域拡張の間に何らかの関係が存在することが示唆された. 以上のことより, 経直腸的前立腺超音波断層法が小さな精索静脈瘤の発見に有用である可能性が示された.
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