失語症者の記銘力と構文理解力
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概要
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Broca失語症者、Wernicke失語症者各15名、非脳損傷成人10名を対象に、記銘力と構文理解力の関係を分析した。課題は、物品名の聴覚的記銘と構文理解力テストであった。後者は2つのテストから成る。一つは課題文の文法溝造を統制し文節数を変え、処理できる情報の量を調べた。他方では、課題文の文節数を統制し文法溝造の難易を変え、処理できる情報の質を調べた。実験により次のような結果が得られた。(1) 両失語群の言語記銘力は、対照群に比べ有意に低かった。(2) 両失語群とも、言語記銘力のより高い者の方が、文節数のより多い文型まで理解できた。(3) 両失語群とも、言語記銘力と処理できた文法構造の難易の間に関係は存在しなかった。以上より、言語記銘力の高さは、文を理解する際、文の持つ情報の量的処理には有利に働くが、質的処理には影響を持たないことがわかった。
著者
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