鼻腔有効面積の測定について
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概要
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1. 研究目的:鼻腔通気度の表境には種々の方法が用いられているが,すべての点で満足出きるものはない.近年試みられている有効面積による表現は未だ広く銅いられているわけではなく,これは基礎的実験や,その妥当性の検討を欠くためである.我々は果してこの方法が理論例こも正しく,またどの程度まで実用化されるものかを確かめるべく,模型実験と人体による測定を行つた.2. 実験法:有効面積の表現には門の直径を用いた.基礎実験として直径20mmのビュール管の2個所に円い孔をあけた円板を挿入して抵抗とし,これらの抵抗前後の圧差を測定して,直径の変化による抵抗や圧差への影響をしらべ,流量と2つの圧差の関係,抵抗と直経との関係などを検討した.人体の測定には17名の成人男子を用い,抵抗を負荷した鼻用マスクを通して呼吸させ,マスク-咽頭圧,マスク-大気圧を測定し,基礎実験と適合するか否かを検討した.またトランスジューサーや記録計も種々のものを用いて比較した.人体鼻呼吸時の圧流量同時測定も行い,拠物線の関係を確認し,有効面積による表現との比較を行った.3. 結果:基礎実験では2個の円い孔の抵抗によつて生ずるそれぞれの圧差は,流量を変化させても直線の関孫を示し,座標軸と作る角度は抵抗が変らぬ限り一定していること,抵抗が僅かに変化しても鋭敏に角度を変えることが確認された.また抵抗と孔の直径の4乗が反比例することが証明された.人体による測定でも流量が約1l/秒までの範囲では,鼻の抵抗と孔のつくる抵抗とは等価と考えることが分り,圧一流量曲線から求められた0.5l/秒時の抵抗と,有効面積を示す直径の約4乗とが反比例の関係にあることも示された.測定する2変数が両方とも圧差で,異系統の変数測定ではないために位相差の問題がなくなり,トランスジューサーや記録計に各種のものが使用可能なことが確認された.圧一流量曲線測定の欠点も分析し,それと比較した際の有効面積による表現の利点を述べ,臨床面での実用化の可能性を強調した.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
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海野 徳二
和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
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打越 進
和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
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富山 俊一
和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
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川堀 真一
和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
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海野 徳二
和歌山県立医大耳鼻咽喉科学教室
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富山 俊一
和歌山県立医大耳鼻咽喉科学教室
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打越 進
和歌山県立医大耳鼻咽喉科学教室
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川堀 真一
和歌山県立医科大
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