頸性眩暈症の診断に対する曲面断層撮影の価値 : Orthopantomography 利用による観察
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概要
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目的.頸性に由来する眩暈症に対して,機能検査上で異常を認める場合,形態学的検査(X線診断)で異常の証明が困難であつたり,単純撮影の45°斜位像などでのフイルムが左右対称的に撮影される成功率が低い.そこで当然疑い程度の診断が下される.この左右対称縁としての成功率向上のために,1回の撮影で左右像を表現し,しかも椎間孔を中心とする斜位像の細部にわたつて読影可能な像を作り出す事を試みた.実験方法及び装置.この目的を満足させるのに曲面断層が行なえるOrthopantomographyを利用した.乾燥骨による計測を行い頸椎の椎間孔の変化及びこれを形作る側方関節と後方関節を断層する曲面の設定を行った.径は60mm〜50mm前後の円軌道で断層域は充分である.使用したOrthopantomographyは径60mmのものである.(2nd path)乾燥骨での難構築模型にて前後左右に断層軌道がずれる場合や観察対象となる椎間孔周辺の像を確認した.また曲面断層は断層域に厚さがある.結果.曲面断層撮影による頸椎のX線像は従来の単純撮影像における内容と異り,1枚のフィルムからほぼ頸椎の重要部分を読み取る事が出来た。特に椎間孔周辺部分は,頸性症候群として重要な鍵を握る場所である.この部分の側方関節唇,後方関節などの様相を細部に観察出来る.丁度,巣純撮影像の左右45°斜位像と正面縁をつなぎ合せ,像の重なりをさけたフイルムである.この方法で"めまい外来患者"で頸椎由来と考えられる36症例と整形外科医によつて無作為に選ばれた交通外傷後遺症もしくは頸腕症候群15症例について検査が行われた.比較は単純45°斜位像と曲面断層像について行い,めまいとの比較は頸運動時に眼振の認められるもの,疑わしいもの,無いもの等について検討した.眼振の認められる症例は単純45°斜位像で異常1例,疑ぃ1例,正常5例である.曲面断層像からこれらの7症例を分類した結果は,疑いをもたれた症例はC3の上側方関節唇突出(右)が認められた.45°斜位像で正常と診断きれた例には第5椎間孔変形,C4下側方関節唇欠損,第2椎間孔変形,第4椎間孔変形の4症例が発見された.眼振の疑わしい症例14例でも45°斜位像で疑わしい2例は曲面断層像に側方関節や後方関節の異常を認める.正常とされる9例中に異常な曲面断層像の3例があつた.眼振の無い群にも45°斜位像で異常の4例中1例は曲面断層像から正常と診断された.この様に左右を比較し,同一平面上で投影される像を用いる事によつて,現在,上部頸椎が主であるが,異常の発見が可能な曲面断層撮影法及び頸性めまい症例を報告した.この異常がただちに頸性めまいとは著者も考えてはいないが,少くとも何%かは人体における最も運動の頻度が高く,しかも頭部をささえる場所に異常があつてしかるべきと考え報告する。
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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