「J型結腸嚢をめぐる諸問題」
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概要
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肛門括約筋温存術後には頻回排便・soiling・便意促迫などの排便機能障害の症状がしばしば発生するが,内肛門括約筋の機能低下と直腸切除による便貯留能の低下が主な原因とされている.J型結腸嚢再建は,側々吻合で内腔を拡大した結腸を新直腸(neorectum)とすることで術後の便貯留能を改善し,排便機能障害を軽減することを企図した再建法で,1986年Lazorthesら,Parcらによって導入された.その後,J型結腸嚢再建ではストレート型再建よりも術後早期の排便機能が良好であったとするrandomized trialの結果が報告され,縫合不全もJ型結腸嚢再建で少ないことから,欧米では,中部・下部直腸癌に対する肛門括約筋温存術後の標準的な再建法と考えられている.<BR>しかし,J型結腸嚢再建では便排泄障害が危惧されており,Hidaらの大きさ10cmと5cmのJ型結腸嚢の比較では,小さい結腸嚢の方が便排泄能が良好であった.また,高位吻合例ではストレート型再建でも術後排便機能障害が高度となる例は少なく,J型結腸嚢再建の意義は小さいと考えられている.<BR>演者らは1994年からJ型結腸嚢再建を採用し,ストレート型再建との比較も行つてきたが,器械吻合が可能な例では術後早期の排便機能の差を見い出せていない.また,J型結腸嚢再建後の長期経過例では排便に下剤を要する例も多い.さらに,ストレート型再建では臨床的因子や術前の直腸肛門内圧検査から術後排便機能をある.程度予測できるが,J型結腸嚢再建後の排便機能に関与する因子は極めて複雑であった.<BR>本セミナーでは,演者らのJ型結腸嚢再建の実際をビデオで供覧したうえで,以上のようなJ型結腸嚢再建をめぐる諸問題を概観し,さらに肛門括約筋温存術後の再建の近未来像を探ってみたい.
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