大腸癌肝転移の術前診断

概要

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大腸癌肝転移に対して積極的に肝切除が行われるようになり,それに伴い肝転移の術前診断が重要となってきた.しかし大腸癌患者全例に,全身CT,血管撮影等の検査を施行することは労力が多大な割に効率が悪い.一次スクリーニングとしての血清CEA,Al-p,LD+Hと肝シンチグラムの有用性について検討した.対象は大腸癌患者219名で,うち25例に肝転移が認められた.切除対象となるH<SUB>1</SUB>,H<SUB>2</SUB>症例の発見に主眼を置くと,肝シンチ,Al-Pは無力であったが,CEA,LDHがよい指標となり,両者を組み合わせると(CEA>10ng/dl.もしくはLDH>280U/L),sensitivity rateが73.7%,false-positive rateが12.4%,false-negative rateが3.3%と比較的有用な検査と考えられた.この組合わせによるスクリーニングの後に各種の精密検査を追加ずることによって大腸癌の肝転移についての効率の良い術前診断ができ,さらに術中超音波検査により正しい肝合併切除が行えるようになると期待される.