緊急地震速報における周波数情報の配信・利用の提案 : −周波数応答マグニチュード−
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概要
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緊急地震速報における、対象物の揺れや被害を高い精度で推定するための震源パラメータとして”周波数応答マグニチュード”の利用を提案した。このパラメータは、地震発生時に各観測点においてリアルタイムで計算されるP波の応答スペクトルと、あらかじめ定義された距離減衰式から直接求めることができる。周波数応答マグニチュードが緊急地震速報の情報として配信されれば、受信者はこのパラメータと前述の距離減衰式を使用して、主要動による対象物の応答を即時的に推定することができる。この手法によりHi-netで観測された12793波形を対象に、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0Hzの固有周波数を持つ減衰定数5%の加速度応答値の推定を行った。その結果、マグニチュードを用いた従来の手法による応答(常用対数値)の平均推定誤差に比べ、この手法による推定誤差は、全相データを用いた場合に14%〜22%、P波を用いた場合に10%〜18%減少することが示された。これは、周波数応答マグニチュードが、震源の持つ周波数特性を地震ごとに反映するためである。以上より緊急地震速報による精度の高い制御が求められる分野では、周波数応答マグニチュードの配信、利用が非常に有効である。