Mazindolの唾液と胃酸の分泌機構に対する影響について
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概要
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イヌを用いて,mazindolの唾液分泌に対する作用を検討した.化学刺激と電気刺激による唾液分泌量をmazindol 2mg/kgの静注で減少させ,自発性唾液分泌を抑制した.唾液分泌圧も低下した.唾液分泌速度に対する作用は,mazindol投与群と生食投与の対象群の間に有意な差はなかった.mazindol投与群の唾液中と血清中のNa<SUP>+</SUP>,Cr<SUP>-</SUP>,K<SUP>+</SUP>に対する作用は両者とも大きな差はなかった.これにより,先のmazindolの投与により得られた唾液分泌量と分泌の駆動力(分泌圧)に対する抑制効果は,輸送されるイオン輸送によるものでなく,他の作用機序の介在が示唆された.ラットを用いて,mazindolの末梢性と中枢性の胃酸分泌に対する作用を検討した.末梢性の胃酸分泌では,その酸分泌量,分泌の持続時間ともに影響を与えなかった.2-DGやinsulinによって起こされた中枢性胃酸分泌に対しては,明らかな抑制作用を示した.視床下部外側野内に微量投与した場合にも,2-DGによる分泌を抑制した.mazindolは視床下部に直接作用し,そこが統御する胃酸分泌に対して抑制効果を示したことになる.視床下部外側野内のブドウ糖感受性細胞に対して,mazindolは特異的に抑制作用を示した,一方,視床下部腹内側核内のブドウ糖受容性細胞に対しては明らかな促進作用を示した。以上の成績から,唾液分泌に対する抑制には視床下部の摂食中枢自身に対する作用が示唆され,胃酸分泌に対しても,分泌を直接統御するニューロンに対して作用を及ぼすことが推定され,本剤mazindolの肥満に対する治療効果が期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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