副腎髄質摘出ラットの血圧反応に関する薬理学的研究(I)
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概要
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副腎髄質の生理的役割をラットを用いて検索した.Wistar-今道系雌雄ラット3週令幼若期,あるいは12週令成熟期に副腎髄質を摘出(AdMx),対照群にはSham手術を施行した.血圧はtail-cuff法により測定した.1) 幼若期,成熟期AdMx群とも術後5〜6週以降,収縮期血圧が徐々に上昇した.血漿レニン活性は,AdMx雌雄ラットで対照群よりも低い傾向にあった.2) <I>l</I>-アドレナリン50 μg/kg皮下注射による血圧反応は,AdMx群と対照群で有意な差はなかった.3) 幼若期AdMx群においてイソプロテレノール50 μg/kg皮下注射による降圧効果が大であった.4) チラミン200 μg/kg皮下注射により幼若期AdMx群雄において,著明な血圧上昇反応が示された.成熟期AdMx群の反応は対照群と同様に小であった.5) 幼若期AdMx群雄の血圧は,レセルピン処置24時間後も110 mmHgに保たれ,チラミン投与後血圧上昇がわずかに認められた.これに対し,対照群雄の血圧はレセルピン処置後80 mmHgまで下降し,チラミンに対する血圧上昇反応も消失した.以上in vivo実験の結果から,ラットにおいて副腎髄質摘出を行なうと,末梢交感神経系のノルアドレナリン遊離調節機構に変化をもたらすことが示唆された.この変化は幼若期手術群,特に雄において大きいことが明らかとなった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文