ヒトレニン阻害薬KRI-1314のコモンマーモセットにおける降圧作用
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概要
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ヒトレニン阻害物質として新規合成したcyclohexylnorstatine誘導体KRI-1314の抗高血圧薬としての可能性をコモンマーモセットを用いて検討した.KRI-1314はヒトおよびマーモセットの血漿レニン活性(PRA)を強力に阻害し,その50%阻害濃度(IC<SUB>50</SUB>)はそれぞれ4.7×10<SUP>-9</SUP>Mおよび6.9×10<SUP>-9</SUP>Mであった.降圧作用の評価には,(1)遺伝子組み換え型ヒトレニン(RH-レニン)を静脈内単回および持続注入した昇圧モデルおよび(2)2週間の減塩食とフロセミド負荷によりPRAを高めた減塩処置モデルを用いた.ペントバルビタール麻酔下のマーモセットにおいて,RH-レニン0.15μg/kgの静脈内単回注入による昇圧およびPRAの上昇反応は,KRI-1314 0.01および0.1mg/kg/minの静脈内持続注入下で用量依存性に抑制された.また,RH-レニン0.1μg/kg/minの静脈内持続注入による持続性の高血圧においては,KRI-1314 0.03〜3mg/kgの静脈内単回注入により用量依存性の平均血圧低下が認められた.一方,減塩処置モデルでは,KRI-1314は麻酔下において0.1〜3mg/kgの静脈内単回注入により用量依存性に平均血圧を低下させ,無麻酔下においても10および30mg/kgの経口投与によりPRAの抑制を伴った降圧作用を示した.KRI-1314 30mg/kgの経口投与による降圧は,カプトプリル1mg/kgの経口投与によるものとほぼ同等であり,投与1〜2時間後に約18mmHgの最大値を示した後徐々に回復したものの,投与5時間後においても元のレベルに回復しなかった.KRI-1314はいずれの実験においても心拍数には影響を及ぼさなかった.以上の成績は,強力なヒトレニン阻害物質KRI-1314がレニン依存性の高血圧に対して経口投与で有効な治療薬となる可能性を示唆している.
著者
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久保田 哲弘
キッセイ薬品工業
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村上 真
キッセイ薬品工業
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斎藤 浩
大阪医科大学薬理学教室
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江藤 裕夫
大阪医科大学薬理学教室
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宮山音 瑞夫
大阪医科大学薬理学教室
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久保田 哲弘
キッセイ薬品工業(株)研究開発本部
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村上 真
キッセイ薬品工業(株)研究開発本部
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