Nicergolineに関する薬理学的研究(第III報) : 脳および末梢循環に対する作用
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概要
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実験動物を用い,脳および末梢循環に対するnicergolineの作用をdihydroergotoxine(DHE)およびpapaverineと比較検討し,以下の成績を得た.1) 動脈内投与:nicergoline(0.032〜32 μg/kg)はpapaverineと同様にネコの内顎動脈(ヒトの内頸動脈に相当)および大腿動脈血流量を用量依存的に増加させたが,DHEは作用を示さなかった.2) 静脈内投与:nicergoline(32〜128 μg/kg)はネコにおいて血圧下降および一過性の脳血管抵抗の低下を生じさせたが,内顎動脈血流量,頭蓋内圧および心拍数にはほとんど影響を与えなかった.papaverine(1〜4 mg/kg)は内顎動脈および局所脳血流量増加,頭蓋内圧上昇,血圧上昇ならびに心拍数増加を生じさせた.一方,DHEは血圧下降と心拍数減少とを生じさせたが,他のパラメーターをほとんど変動させなかった,3) 経口投与:ネコにおいてnicergoline(0.06〜4 mg/kg)は用量依存的な血圧下降を惹起するとともに低用量でadrenaline昇圧反応を選択的に抑制(ID50: 0.25mg/kg)した.DHEはadrenalineおよびnoradrenaline昇圧反応を抑制したが,血圧に対しては軽度の下降作用を示すのみであった.さらに,nicergoline(3〜100 mg/kg)は高血圧自然発症ラットの血圧を用量依存的に下降させると共に高用量では心拍数を減少させた.4) これらの成績から,nicergolineの脳および末梢循環に対する作用は直接的な血管拡張作用とα-受容体遮断作用とに基づくものと考えられた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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成田 寛
田辺製薬(株)医薬開発研究所
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新冨 敬一
田辺製薬株式会社安全性研究所薬理生化学部門
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新冨 敬一
田辺製薬(株)安全性研究所
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小川 洋里
田辺製薬(株)安全性研究所
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吉本 謙一
田辺製薬(株)安全性研究所
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成田 寛
田辺製薬(株)生物研究所
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