モルモット盲腸紐における非アドレナリン作動性抑制神経の神経伝達に対する内因性モルヒネ様ペプチドの調節的役割
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概要
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モルモット盲腸紐に内在する二種類の抑制性神経,アドレナリン作動性神経と非アドレナリン作動性神経の刺激効果に及ぼすモルヒネ様ペプチドとその拮抗薬である naloxone の影響を検討した.leu-enkephalin,met-enkephalin,(D-ala<SUP>2</SUP>) met-enkephalin,β-endorphin は atropine と guanethidine 存在下に経壁刺激(1 Hz)したときの盲腸紐の非アドレナリン作動性抑制反応を用量依存的に抑制した.特に(D-ala<SUP>2</SUP>)met-enkephalin と β-endorphin の作用は強く,その50%抑制量(ID50 値)はともに 1μM であった.これらのモルヒネ様ペプチドによる抑制効果は naloxone(1μM)によってほぼ完全に消失した.この濃度の naloxone それ自身はこの経壁刺激効果を逆に増強した.一方 atropine 存在下に perivascular nerve を電気刺激したときの盲腸紐のアドレナリン作動性抑制反応は leu-enkephalin,β-endorphinnaloxone のいずれによっても影響を受けなかった.免疫蛍光組織化学的方法により,enkephalin 免疫活性神経が盲腸の Auerbach 神経叢に数珠状の神経線維網として多く観察された.また輪走筋および縦走筋内にも筋層に平行して走行する蛍光線維が同時に認められた.以上の成績からモルモット盲腸紐の非アドレナリン作動性抑制神経の神経伝達機構に,内因性モルヒネ様ペプチド(enkephalins,endorphin)が調節的役割を果していると結論することが出来る.
- 社団法人 日本薬理学会の論文