非ステロイド性抗炎症薬の Cathepsin D及びCathepsin E におよぼす影響について
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概要
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主要な細胞内 aspartic proteinases である cathepsin D および cathepsin E に対する酸性の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の影響について比較検討した.酵素はラット脾臓から分離精製して用いた.cathepsin D に対しては,用いた薬物のすべてが程度の差にあるものの,明らかな活性阻害を示した.cathepsin D に対して最も強い阻害活性を示したのはindomethacin(50%阻害濃度;0.2mM),次いでflufenamic acid(50%阻害濃度;0.5mM)であった.sodium salicylate(SA)およびaspirinも,前二者に比べると弱いけれども cathepsin D活性を明らかに阻害した(50%阻害濃度;8〜10mM).これら薬物群の cathepsin Dに対する阻害効果はpH依存性であり,全て非競合的阻害であった.一方,cathepsin Eに対してはこれらの薬物は殆ど阻害効果を示さず,SAのみが高濃度(0.1M程度)において非競合的に本酵素活性を阻害した.SA構成異性体であるメタあるいはパラヒドロキシ安息香酸Naは,SAに比べて明らかに弱い cathepsin E 活性阻害を示した.SAの cathepsin E 活性の阻害はpHに殆ど影響されず,反応時間にも依存しなかった.これらの結果は,同じ分子進化系統に属し,基本的性質において類似している両酵素が高次構造において明らかに異なっていることを示している.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
山本 健二
九州大・歯科薬理
-
山本 健二
九州大院歯口腔常態制御学口腔機能分子科学分野
-
加藤 有三
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科・口腔分子薬理
-
山本 健二
長崎大学歯学部歯科薬理学講座
-
加藤 有三
長崎大学歯学部歯科薬理学
-
竹田 光江
長崎大学歯学部歯科薬理学教室
-
加藤 有三
長崎大学歯学部歯科薬理学教室
-
山本 健二
長崎大学歯学部歯科薬理学教室
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