近位尿細管内障害部位の判定に関する研究 ラット腎ネフロン内3酵素の分布とGentamicin及び塩化第二水銀投与による尿中酵素活性の変動
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概要
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ラット腎をcollagenase,hyaluronidaseで処理することにより,腎ネフロンを単離し,ネフロン構成セグメントを糸球体から集合尿細管に至るまでの分離可能な6部分に分けて,γ-glutamyl transpeptidase(γ-GTP),alkaline phosphatase(Al-p),leucine aminopeptidase(LAP),等の3種の酵素を測定した.これら3酵素は何れも近位尿細管に高く分布し,他のセグメントには活性が認められないか極く低い活性であることにより,腎内では近位尿細管特異酵素と言い得る.近位尿細管をさらに糸球体に近い方からS<SUB>1</SUB>,S<SUB>2</SUB>,S<SUB>3</SUB>の3部分に分けて3酵素活性を単位長さ(mm)当りの比活性として比較したところγ-GTP,LAPは,S<SUB>2</SUB>≈S<SUB>3</SUB>>S<SUB>1</SUB>,Al-PはS<SUB>1</SUB>≈S<SUB>2</SUB>≈S<SUB>3</SUB>であった.この結果は近位尿細管特異酵素の近位尿細管内分布が均一でないことを示している.腎毒性を有するgentamicin(GM)および塩化第二水銀(昇天)をラットに投与し,腎組織中および尿中の上記3酵素活性を測定すると,組織中の酵素活性低下と共に尿中酵素活性の上昇が認められる.従って近位尿細管酵素の近位尿細管内分布の相違と腎毒性物質投与後の尿中酵素排泄像の変動を比較することにより,或る腎毒性物質の近位尿細管内障害部位の判定が可能となる.この方法によりGMは近位尿細管起始部(S<SUB>1</SUB>)を昇汞は中部(S<SUB>2</SUB>)から終末部(S<SUB>3</SUB>)を広く障害するものと結論された.
著者
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遠藤 仁
東京大学医学部薬理学
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酒井 文徳
東京大学医学部
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須藤 純一
東京大学医学部薬理学教室
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島田 肇
東京大学医学部薬理学教室
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古関 千寿子
東京大学医学部薬理学教室
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酒井 文徳
東京大学医学部薬理学教室
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遠藤 仁
東京大学医学部薬理
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