ラット胃の慢性的自律神経切断による薬物反応性の変化について
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概要
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ラット胃を支配する自律神経を切除し,7〜10日経過した後,諸収縮薬に対する胃底部条片の反応性を調べた.交感神経の除神経((sympathectomy)は新しく試み,螢光組織化学法,カテコラミン含量測定によって除神経がほぼ完全であることを確認した.なお除神経後の胃の筋電図がrescrpine処置後と類似していたことから,機能面からも除神経が確実であることが支持された.迷走神経切断(vagotomy)は常法に従って行なった.慢性的神経切除後の胃条片の諸収縮薬(cholinergic agonists,serotonln)に対する反応性は,vagotomy標本の場合,用いた全ての収縮薬による最大発生張力の著明な低下が観察された.sympathcctomy標本の場合,scrotoninでは最大発生張力の低下はみられなかったが,cholinergic agonistsによる最大発生張力の軽度の低下が観察された.神経切除後にみられる収縮力低下の原因を調べる意味で,等張K<SUP>+</SUP>脱分極筋でのCa<SUP>2+</SUP>収縮および<SUP>45</SUP>Caのeffluxを測定した結果,vagotomy標本およびsympathectomy標本共にCa<SUP>2+</SUP>収縮は著明に低下しており,また<SUP>45</SUP>Caのeffuxはvagotomy後では著明に,sympathectomy後では軽度に減少していた.さらに収縮時におけるenergy供給の程度を調べる意味でATP含量を測定したが,vagotomy後およびsympathectomy後では有意な変化はみられなかった.以上のことより,ラットに胃対する自律神経を慢性的に切除すると,諸収縮薬に対する胃条片の感受性は変化せず最大発生張力の低下がみられることより,receptor以降に変化が生じていると考えられ,その可能性の一つとしてCaイオンの動態について考察した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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