鎮痙作用を有する塩基性Ether化合物(R111,R97)の薬理学的研究
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概要
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2-tolyl 1-phenyl-3-(2-methylpiperidino)propyl ether methyl bromidc(R111)および2-chlorophenyl 1-phenyl-3-(2-methyl-piperidino)propyl ether methyl iodide(R97)の一般薬理作用について検討し以下の結果を得た.1)酢酸writhing抑制作用に対し腹腔内および皮下投与で強力な効果を示したが,熱刺激に対する鎮痛作用は認められなかった.また自発運動量,抗けいれん作用,正常体温に対しては影響を与えなかった.しかしR111の角膜表面麻酔作用はほぼprocaineに匹敵するものであった.2)摘出モルモット回腸標本においてacetylcholineによる収縮に対しatropineの30〜50%の効力を示し,また特にBaCl<SUB>2</SUB>による収縮に対してはpapaverineの20〜30倍の効力を示した.Nicotine,serotoninによる収縮に対してもatropineとほぼ同程度の効力であったが,histamine,bradykininによる収縮に対しては殆んど影響はみられなかった.また摘出モルモット輸精管,摘出ラヅト子宮においてもacetyl-choline収縮に対する拮抗作用が認められた.3)マウスにおける散瞳作用は殆んどみられなかった.4)Pilocarpineによる唾液分泌に対しatropincに匹敵する抑制作用を示した.5)マウスおよびラットの小腸輸送運動を抑制した.6)幽門結紮4時間後におけるラヅトの胃液・胃酸分泌に対し抑制作用を有したがその作用はatropineに比して弱いものであった.7)Shayratによる急性胃潰瘍に対しては著明な抑制作用が認められたが,酢酸Yom.よる慢性胃潰瘍に対する作用は弱かった.8)ウサギ血圧において静脈内投与により投与時のわずかな上昇に続く一過性の降圧作用がみられたが,この低下は5分以内には回復した.血流量においてはR111の静脈内投与により一過性の減少を示したが,3分以内には回復した.呼吸運動,心拍数,心電図に対しては何ら特異な影響を与えなかった.9)ラットにおけるcarrageenin足浮腫は腹腔内投与により抑制されたが,経口投与ではその作用は殆んど認められなかった.以上の結果よりR111およびR97はatropine類似の作用を有する一方,摘出腸管における抗BaCl2作用,散瞳作用,胃液・胃酸分泌抑制作用,局所麻酔作用等においてatropineとは著しく異なった作用を示した.
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