ラット下顎非咬合切歯の萌出に及ぼすドキソルビシンの影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
抗腫瘍性抗生物質の一つドキソルビシンをラットに投与し,下顎非咬合切歯の萌出率,歯髄細胞や歯根膜組織,および象牙質形成量などに及ぼす影響について検索した.実験群の動物には,体重1kgあたり5mgのドキソルビシンを1日1回,7日間にわたり腹腔内注射した.ドキソルビシン投与後,切歯萌出率は徐々に低下し,投与7日目には対照値の14%(127±64μm/24hr)まで減少した.組織学的には切歯基端部付近で歯根膜および歯髄細胞の著しい破壊が観察された.テトラサイクリンによるラベリング法を用い硬組織形成量を調べたところ,第一臼歯近心根付近から得られた切歯横断切片において象牙質の形成量には有意の低下は認められなかった(58〜61μm/3days).これらの所見から,ラット下顎切歯の萌出抑制と切歯基端部付近の組織破壊には,何等かの関連性がある可能性および切歯の萌出と象牙質形成との間には関連性がない可能性が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- 薬物動態シミュレーションプログラムを用いた実習方法 : 歯学部薬理学実習への応用
- 薬理学 early exposure への薬物動態シミュレーションソフトウェアの利用
- オートラジオグラフィーによる魚類黒色素胞アドレナリン性α受容体の検定(生理学)
- 再植したラット臼歯歯根膜の修復に及ぼすalendronateの効果
- ラット切歯萌出に及ぼす顎骨内局所循環系の役割 : 血管作動薬(アドレナリン)の局所投与による切歯萌出と局所血流の変化
- 咬合および非咬合ラット切歯萌出力の推定
- ラット切歯萌出時における歯根膜の分離部位に関する実験的研究
- C-1-9 : 00 再植したラット切歯歯根膜における修復過程の組織学的観察
- ラット臼歯歯根膜の機械的性質ならびにコラーゲン線維の性状に及ぼすコラゲナーゼ処理の影響
- 全身麻酔下のラット下顎切歯萌出に及ぼす生理的塩類溶液持続投与の影響
- 低引張り速度で得られた咬合および非咬合ラット切歯歯根膜における応力-歪曲線の解析ならびに組織学的観察
- β-アミノプロピオニトリル(BAPN)投与ラット臼歯歯根膜における低速荷重速度で得られた応力-歪曲線の解析
- ラット下顎切歯の長軸方向への動きと全身血圧に及ぼすβ_2-作動薬, テルブタリンおよびβ-遮断薬, プロプラノロールの影響
- ラット下顎切歯の動きと歯髄内血流量との関連性
- 非接触型変位計を用いたラット切歯の萌出量測定法
- ラット下顎非咬合切歯の萌出に及ぼすドキソルビシンの影響
- ラット下顎非咬合切歯萌出率,および切歯硬組織形成に及ぼす 1-Hydroxyethylidene-1,1-bisphosphonate(HEBP)の影響