黒毛和種における色覚,とくに有彩色と無彩色との識別
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概要
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牛の色覚の有無を明らかにするため,左右の選択路に飼槽を置いたY字型迷路で,黒毛和種3頭について,有彩色と無彩色との識別が可能かどうかを試験した.有彩色のパネルを正のパネルとして餌の摂取できる飼槽に,無彩色のパネルを負のパネルとして餌の摂取できない飼槽に配置した.ただし,左右どちらを餌の摂取できる飼槽にするかはランダムに変化させた.選択反応の調査は,30試行を1セッションとし,各セッションごとに正反応数と誤反応数を集計した.識別できたかどうかの基準は,1セッションにおける正反応数が21回以上であるかどうかを基準にした.まず初めに,供試した各有彩色(緑,赤,青,黄)について白色との識別学習を実施した.その結果,いずれの供試牛も12セッションの訓練で,それらの有彩色を白色と識別するようになった.こののち,識別検査で,白色パネルの方を,対比させた有彩色と同明度の灰色を含む7段階の明度で白から黒まで変化させ,それでもそれらの有彩色を選び続けるかどうかを検査した.この検査では,いずれの供試牛も白色の明度の変化にかかわらず,各有彩色を選び続けた.このことから供試牛は,識別学習での有彩色と白色との関係を,ある灰色と白色という関係でなく,ある有彩色と白色という関係で学習していたと考えられた.飼槽にパネルを全く配置しないで餌の摂取できる飼槽を選ばせるコントロールテストを実施した.このテストでは,供試牛は餌の摂取できる飼槽を正しく選択することができなかった.このことは,供試牛がパネル以外の刺激を飼槽選択の手掛かりにしていなかったことを示していた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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