めん羊脂肪細胞インスリンレセプターに対するインスリンの低親和力機序の解析
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概要
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めん羊脂肪細胞はラット脂肪細胞と比較して低インスリン結合を示し,この低インスリン結合が受容体数の違いによるものではなく低親和力によるものであることが報告されているが,この低親和力の機序に関しては不明である.そこで体重約59kgの雌めん羊の皮下脂肪組織からコラゲナーゼ処理にこて脂肪細胞を単離し,この単離脂肪細胞に対する125I-insulinの会合(association)および解離(dissociation)率を速度論的に解析し,ラットのそれと比較することにより,めん羊脂肪細胞のインスリンに対する低親和力の機序の一端を解明した.めん羊,ラット共にインスリン結合率は経時的に増加し,15分の孵置で最大となった.しかし,めん羊はラットに比し各時間で.さらに1分までのassociationよりその結合初速度を検討したところ有意な低値を示した.めん羊,ラット共に受容体に結合した125I-insulinの解離は経時的に増加し,非標識インスリンの存在下において解離速度の亢進が認められ,さらにassociationの長期化により解離速度の遅延が認められた.しかしながらそぞれの条件下で,結合インスリンを50%解離させるのに要する時間において,めん羊はラットの34〜65%と有意な低値を示した.以上の結果は,めん羊脂肪細胞における低インスリン結合能が,受容体との結合速度の遅延および受容体よりの解離速度の亢進に起因することを示唆している.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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