とうもろこしのペレット化が肥育牛の採食量,増体,産肉性と第一胃内消失率に及ぼす影響
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概要
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全粒のままペレット処理したとうもろこしが肥育牛の飼料摂取量,増体量,産肉性および第一胃発酵に及ぼす影響について検討した.40頭のホルスタイン種去勢半を用いて2回の肥育試験を行なった.PC-1,FC,PC-2およびGCの4種類の濃厚飼料を用いた.これらは,それぞれ,ペレット処理,フレーク処理,ペレット処理および粉砕処理したとうもろこしを40%含み,その他の原料の配合割合は同一とした.粗飼料には稲わらを用い,いずれも自由摂取させた.試験1ではPC-1とFCを,試験2ではPC-2とGCを比較した.試験1における1日当りの濃厚飼料摂取量(kg),粗飼料摂取量(kg)および増体量(kg)はPC-1区がそれぞれ9.39,0.87,0.90であり,FC区の8.42,0.90,0.82に比べ濃厚飼料摂取量は約12%,増体量は約10%多かった.同様に,試験2ではこれらはPC-2区がそれぞれ10.09,0.83,1.20であり,GC区の9.09,0.91,1.12に比べ濃厚飼料摂取量は約10%,増体量は約7%多く,糧飼料の摂取量は約10%少なかった.また,PC-2区はGC区に比べ出荷時体重,枝肉重量が大きく(P<0.10),正肉重量と正肉歩留も有意に高かった(P<0.05).第一胃内容液のVFA比率はPC-2区がGC区より酢酸の割合が低く,プロピオン酸の割合が高い傾向にあつた.血漿の総遊離アミノ酸濃度は両区では差はなかっが,スレオニン,バリン,イソロイシン,ロイシンおよびトリプトファンの濃度は,PC-2区の方がGC区よりも10〜20%高かった.また,ナイロンバッグ法により求めた3種類のとうもろこしの第一胃内乾物消失率は,FCが最も高く,次いでGC,PCの順であり,窒素の消失率はGC,FC,PCの順であり,ペレット処理によりいずれの消失率も低下した.以上より,ペレット処理により濃厚飼料の摂取量が高まり,増体速度は改善されうると考えられた.
著者
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平野 進
伊藤忠飼料株式会社研究所
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板橋 久雄
農林水産省畜産試験場
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石井 知幸
伊藤忠飼料(株)研究所
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政住 俊介
伊藤忠飼料(株)研究所
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相川 勝信
伊藤忠飼料(株)研究所
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平野 進
伊藤忠飼料(株)研究所
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