熊本県産褐毛和種集団の繁殖構造
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概要
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褐毛和種育種集団について,1955年から1990年までの繁殖構造の分析を行なった.その主な結果は次のとおりであった.1) 全近交係数(平均近交係数)は1955年の0.83%から1990年の3.36%へと2.53%増加した.2) 平均血縁係数は1955年の0.89%から1990年の4.21%に増加し,阿蘇および球磨地域において高い値を示した.3) 分化指数(F/F)は1より大きく評価され,地域的または系統的分化が生じていることが推測された,4) 集団の有効な大きさは1966年に1955年の約50%に縮小し,1975年には約2倍に拡大,1985年に約50%に縮小した.種畜の地域間での移出入は行なわれている.5) 特定種雄牛の遺伝的寄与率では,重玉および光浦号の寄与が大きく,父牛系統の割合では重玉系が64.9%,光浦系が23.4%を占めた.6) この35年間,繁殖構造上,地域内での分化もみられ,集団としては均質化の傾向はみられない.