Cr-Mo肌焼鋼の焼準及び恒温焼鈍について (第1報)
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概要
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一般に焼準と云つても鋼種,寸法或いは冷却方法などによつて処理後の品物の組織と硬さとは異つたものになる.機械工場では多くの部品が種々の切削加工を受け,この切削工程が部品のコストに大きな影響があるのは周知のことであるが,夫々の部品や切削方法に応じて最適の熱処理を施すことは経済的に大きな負担となり,従つて一般には普通の焼準方法,例えば自然空冷或いは衝風冷却などが行われている。然るに前記のように焼準後の組織と硬度とがばらつく為に切削に難易を生ずるとの苦情をよく聞く.当社では素材の切削加工は行わないので直接に切削性が問題となる事は殆んどないのであるが,焼準品の組織と硬度とに幅があることは既に経験している.例えばCr-Mo肌焼鋼がそうである。この鋼種は吾国の自動車や其他の機械部品用として最も広く使われていること,中程度の焼入性を有することなどで自然に問題となる機会が多くなるものと考えられる。従つてこの鋼種の焼準後の組織と硬度について実験と調査を行うことにした.上述の組織や硬度の幅が何に最も起因しているかは早断出来ないが同一チヤージ,同一寸法の太丸材でも異つた組織が出ることがあることから先づ冷却速度を研究対象とした.本報は冷却速度を主とする実験と現場製品の簡単な調査結果をまとめたもので,更に基礎的な実験や現場製品の更に広汎な調査並びに他の因子の影響については次回に報告する予定である.
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