ウズラの視覚器および視蓋の孵化後発達に関する形態計測
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概要
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ウズラ視覚系の孵化後の成長に伴う発達を調べるため,眼球,脳および視蓋の形態計測を行った.さらに網膜とその主要な情報受容部位である視蓋の組織学的検討も併せて行った.動物は0日齢10羽,5日齢10羽,10日齢10羽,15日齢10羽,20日齢11羽,30日齢11羽,40日齢7羽,54日齢8羽の日本ウズラ(Coturnix Japonica)計77羽を用いた.眼球と脳の重量は孵化後0〜54日齢までほぼ同様の増加推移を示した.視蓋重量もほぼ脳重量と同じ推移を示したが,脳に対する視蓋の割合は孵化後から日齢を経るごとに減少し,特に0〜10日齢までの減少は顕著であった.一方,30日齢以降はその割合が約13.5%と安定していた.眼球の強膜骨,レンズの重量増加は0〜10日齢において緩やかであったが,孵化後15日齢からの増加は顕著であった.しかし,レンズは30日齢以降,ほぼ横ばいの推移を示した.組織観察では,網膜は0日齢においてすでに成鳥と同様な層構造が確認でき,組織学的にはウズラにおける網膜は孵化時点において基本構造は形成されていることが分かった.しかし,各層は,孵化時において完成されているのではなく,孵化後各層を構成する細胞が成長に伴い密になるとともに,全体として各層ともその厚さが薄くなり,孵化後も組織が変化していることが分かった.特に20〜30日齢にかけての内顆粒層,内網状層の厚さの薄化は著しいものであった.視蓋層は0より54日齢まで日齢を経るごとにその厚さを増加させていた.層区分についてみると,視蓋の各層は,0〜20日齢においては中心白層以下の深層の層区分が不明瞭であったが,30日齢以降は一般的な分類どおり1〜6層に区分され,さらに浅線維および灰白層は20日齢から明瞭にa〜jの亜層に分けられた.これらの結果よりウズラ視覚系を構成する各器官の完成,また視蓋,網膜の組織の完成は30日齢ころと考えられた.
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