ウシ第6染色体の雄特異的連鎖地図の作成
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概要
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一般に哺乳類の雌雄間では染色体の交叉価が異なるため,人工授精が普及し,父方半きょうだい家系より集団が構成されている家畜において,厳密な連鎖解析を行うには雄のみの減数分裂に基づく性特異的な連鎖地図の作成が重要である.本研究では,ヒツジのマイクロサテライトマーカー用プライマーを用いて検出されるものを含むウシ第6染色体のマイクロサテライトマーカーを用いて,雄特異的な第6染色体の連鎖地図を作成することを試みた.生産集団より得られた褐色和種の同一の種雄牛に由来する82頭の半きょうだいの血液または組織からゲノムDNAを抽出し,28のウシマイクロサテライトマーカー用プライマーと10のヒツジマイクロサテライトマーカー用プライマーを用いて,PCR法による増幅を試みた.本家系の種雄牛において,ヒツジマイクロサテライトマーカー用プライマーで検出される2マーカーを含む13マーカーが多型性を示した.これらのマーカーについて,本父方半きょうだい家系を用いて連鎖解析を行った結果,13のうち12のマーカー遺伝子座よりなる単一の連鎖地図が作成され,配置されている各遺伝子座間では,すべて有意な連鎖が認められた.連鎖地図上の各遺伝子座の配置は,OarJMP36-BM143-DIK082,TGLA37-BM4528,ILSTS097-ILSTS035-BM1236-BP7-BM9257-OarJMP12-BM2320となった.雄特異的な連鎖地図はウシ集団における特定の遺伝性疾患とともに量的形質に関する遺伝子座(QTL)のマッピングにも有用であると考えられる.