菜種粕の飼料的利用に関する研究 : III. シロネズミにおよぼす熱水処理液給与の影響
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概要
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菜種粕を熱水処理して得られた液(処理液と略す)をシロネズミに給与し,主として成長および甲状腺におよぼす影響について検討した.1. 無処理菜種粕10%および20%配合に相当する量の処理液を給与しても,嗜好性にはほとんど変化なく,成長はかえってよくなる傾向さえあった.2. 処理液の給与によって,甲状腺は1.6〜1.9倍に肥大し,実質性甲状腺腫のような組織像を呈した.肝,脾,腎および子宮は,重量を増した.このような臓器の重量増加には,無処理菜種粕を給与したシロネズミの場合と同じように,性別による顕著な差は見られなかった.3. 以上の結果から,処理液中には,甲状腺,肝,脾および腎を肥大させる成分が含まれるが,成長阻害成分は,ほとんど含まれていないものと推測した.4. 熱水処理粕をシロネズミに給与して得た前報1)の成績と,本実験の結果とから,菜種粕に含まれている特異成分は,成長阻害成分と,甲状腺その他の臓器を肥大させる成分とに,ほぼ大別されるという解釈が,可能であることを指摘した.