ガスクロマトグラフィーによる新生子牛血糖の同定とその消長
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概要
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成反芻動物の血糖は他の動物種に比較して低レベルにあるといわれているが,子牛のそれは成牛より高濃度に存在し,生後2〜3ケ令にわたる連続的濃度低下を示して成牛値に達することが知られている.いっぽう,胎児血中にグルコース以外の糖を含有する動物種のあることが認められている.本実験の目的は,出生時におけるウシの血中遊離単糖の種類をガスクロマトグラフィー(GLC)により決定し,同時にそれらの糖の出生後における経時的消長を定性的に検討することである.東北農業試験場繋養のホルスタイン種を供試し,出生時に頸静脈より採血したのち,適宜,経時的に採血した.全血および血漿の1mlをSomogyiの方法により除蛋白し,除蛋白上清を凍結乾燥したのち,乾燥ピリジン:ヘキサメチルジシラザン:トリメチルクロロシランの10:2:1(容量)溶液の適量を添加混和して糖のトリメチルシリルエーテル化を行ない,10分静置後,反応混液上清の1〜3μlをGLCに注入した.GLC操作条件は,島津GC-1C型,SE-52(5% on Shimalite W,60〜80メッシュ,3φ×2625mm),カラム恒温槽湿度190°C,注入口濃度330°C,水素炎イオン化検出器温度350°C,キャリヤーガスN2 60ml/min, H2 45ml/minである.1. 市販の特級試薬を標準にして血中遊離単糖類を推定した結果,出生時において,グルコース以外にかなりの量のフラクトースが含有されること,およびソルビッ卜,イノシッ卜の存在を認知することができた,また,これらの糖よりきわめて保持時間の小なる2個の未同定小ピークが観察された.2. フラク卜ースは出生後の時間経過とともに急激に減少し,生後およそ6〜10時間で血中より消失することが判った.ソルビットはフラクトースの消失にしたがい,同様に血中より消失した.いっぽう,イノシットはグルコースと同様に,実験観察期間における血中よりの消失は認められなかった.3. これらの糖は全血および血漿中に同様に含有されると推定された。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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