鶏の血液型におけるBromelin凝集素について
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概要
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鶏血球を家兎に免疫して得られた抗血清をもちいてBromelin法によって検出される血液型特異的凝集,すなわち非定型抗体であるBromelin凝集素の分析をおこない次のような成績を得た.1. 鶏血球を家兎に免疫することによって,Br1, Br2,Br3およびBr4の血液型特異的凝集素が得られたが,これらの凝集素が存在する抗血清のうち,抗-Br1血清と抗-Br2血清の凝集素はBromelin法でのみ反応が認められた.しかし抗-Br3血清と抗-Br4血清の凝集素はBromelin法でのみ反応が認められるものと,Bromelin法と食塩水法の両者に反応の認められるものがあった.このようなことからBromelin法でのみ反応が認められる抗血清中には,いわゆる非定型抗体であるBromelin凝集素が存在した.2. Bromelin法と食塩水法の両者で反応が認められる抗血清の凝集素価はBromelin法が食塩水法に比較して高く,その差はおおむね4〜8倍であった.3. Br1凝集源,Br2凝集原,Br3凝集原およびBr4凝集原によって,鶏の血液型はBr1型,Br2型,Br3型,Br4型,Br1Br3型,Br1Br4型,Br2Br3型,Br2Br4型,Br3Br4型,Br1Br3Br4型,Br2Br3Br4型およびO型の12型に分類された.なおBr2凝集原はBr1凝集原の亜型物質と思われる傾向が認められたが,しかし明確なところは今後の遺伝的分析によらなければならない.4. 採卵用コマーシャル鶏および白色レグホーン種の雑種451羽における血液型の出現頻度について調査したところ,Br1型39羽(8.7%),Br2型21羽(4.7%),Br3型63羽(14.0%),Br4型10羽(2.2%),Br1Br3型171羽(37.9%),Br1Br4型9羽(2.0%),Br2Br3型51羽(11.3%),Br2Br4型5羽(1.1%),Br3Br4型15羽(3.3%),Br1Br3Br4型25羽(5.5%),Br2Br3Br4型15羽(3.3%)およびO型27羽(6.0%)であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文