豚の消化管内容物通過速度測定のためのナイロン糸細片マーカーについて
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概要
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消化管内容物の通過速度を測定するために各種のマーカーが用いられているが,それぞれに一長一短がある.青,赤,無色および緑色についてそれぞれ2,3mmおよび5mm長のナイロン糸細片マーカー(NM)を作製し,各500個を子豚に経口投与した後,糞中への回収率ならびに累積回収割合を比較することにより,それぞれのNMの特徴を調べた.3mmNMと酸化クロムあるいは酸化クロムペーパーを同時に子豚に経口投与し,糞中への累積回収割合を比較することによりNMのマーカーとしての適合性を検討した.1) NMの回収率は4色平均で表わすと,2,3,5mmマーカーでそれぞれ98.1,98.8,98.9%であった.2) 青および赤色マーカーの回収率は99.2%とほぼ全量回収され,無色マーカー(97.0%)や2および3mm緑色マーカー(96.8%)よりすぐれていた.この差は識別の程度の難易によるものと推定された.3) 2mmと3mmマーカーの排泄パターンはほぼ同じであったが,5mmマ-カーはそれらより1〜3時間遅れて排泄された.4) 3mmNMと酸化クロムあるいは酸化クロムペーパーはほぼ同じ割合で排泄された.ことに酸化クロムペーパーと3mmNMはほとんど同じ割合で回収され,3mm NMは豚の消化管内容物と並行して移動することが推定された.5) これらの結果からNMは豚の消化管内容物の通過速度を調べる上で固有の利点(マーカーの作製•使用•測定が簡易であり,重複使用が可能である等)もある,十分に使用しうる指標物質であることが明らかとなった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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