茶の立枯症状に関する研究(第4報) : 愛知県西尾市における茶園土壌のpHの動向および茶の細根の腐敗
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概要
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1.立枯症状の発生が著しい愛知県西尾市の茶園の一部にはpHのきわめて高い土壌があることが判明したため,茶園間および同一茶園内でも土壌の採取場所,深さおよび時期によるpHの変動の程度,pHの上昇をもたらしている原因およびpHと細根腐敗との関連性を明らかにする目的で,本調査研究を行なった。<BR>2.各土壌とも深さ別のpHの分布の相対的な関係は,6回の調査時期ともにほとんど変わらず,各土壌は個有のpHの分布型を持っていることが認められた。これらは基本的には上層部の土壌のpHが下層部に比べて著しく上昇しているものと,両者間にほとんど差異のないものの2型に大別されるが,前者はさらに4型に類型化できる。<BR>3.土壌のpHの上昇に関係がある石灰窒素,石灰類および鶏ふんの施用がpHに及ぼす影響は,必ずしも測定値に鋭敏に現われるとはいえず,茶園によってその反応が異なったが,上層部の土壌のpHが高い茶園では,これらの肥料が多量に施用されている傾向がうかがわれた。<BR>4.各土壌とも,いずれの深さにおいても6月および9月は,他の時期よりpHがやや低い傾向が認められ,また,茶園土壌においてはいずれも地表面に近いほどpHが高くなる傾向が認められた。これらの事実は,施肥との関連からもうなずける。第2層(10〜20cm)の土壌のpHは第1層(0〜10cm)に近いものと,第3層(20〜30cm)に近いものがあったが,中耕や施肥方法によってこのような差異がもたらされたものと思われる。<BR>5.個々の土壌についてみると,高いpH=細根の腐敗とはならなかったが,細根の腐敗はpHの低い土壌(pH4・9以下)では概して起こりにくく,pHが高くなるにつれて,しだいに起こりやすくなる傾向がうかがわれた。<BR>茶園ごとの土壌のpHの平均値と腐敗指数の平均値との間にはr=0.679*この相関関係が得られ,pHが高い割りには細根の腐敗が生じにくいD園の結果を除くと,r=0.903***となり,きわめて高い相関関係が得られた。またpHの低い6月には,細根の腐敗が著しく少なく,西尾市の茶園に限れば,現象的には,pHの高い土壌では細根が腐敗しやすい条件にあるといえよう。<BR>終わりに,土壌採取に格別のご配慮をいただいた西尾茶業組合の宮村技師,ならびに研究の遂行にご便宜をいただいた笠井病害研究室長に深く感謝する。
著者
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