雛の成長にともなう骨格筋の筋線維の太さ,数および核酸含量の変化
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概要
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骨格筋の筋線維数は生後増加しないことが報告されている.しかし,骨格筋線維は多核であるから,成長にともない,筋線維数は増加しなくとも,核分裂が起こる可能性が考えられる.本実験は,この可能性を検討するとともに,筋線維数が生後増加しないという報告を追試するために,実施したものである.卵化時より10週令までの白色レグホーンおよびニューハンプシャー雄雛を用い,深胸筋ならびに縫工筋を対象として,隔週ごとに筋重量,筋線維の直径,筋線維数および筋のデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)量を測定した.結果は次の通りである.1) 孵化時における深胸筋の重量は,縫工筋の約半分にすぎない.しかし.孵化後2週間に,深胸筋重量は著しい増加を示し,2週令における深胸筋重量は縫工筋重量の3-3.4倍に達した.2週令以後は,両筋の成長度合に大きな差は認められなかつた.2) 筋線維の直径の増大は,筋重量の増加と似た様子を示した.すなわち,孵化時の深胸筋線維の直径は,縫工筋線維の約半分であるが,孵化後2週間に,深胸筋線維の直径は3-3.5倍の,縫工筋線維は1.2-1.5倍の増加を示し,2週令における筋線維の直径は,深胸筋の方が大であつた.2週令以後の両筋線維の直径の増加には,大きな差は認められなかつた.3) 卵化時より10週令までにおける縫工筋の線維数には,有意な差が認められず,孵化後筋線維数の増加が起こらないことを確認した.しかし,深胸筋の線維数は,4-6週令まで,週令とともに増加する傾向が認められた.本実験における筋線維数は,筋中央部の横断面積を,筋線維の面積で割ることにより求めたもので,その値は必ずしも正確とはいいえない.それ故,本実験の結果から,ただちに,鶏の深胸筋の筋線維数は,孵化後増加すると考えることはできない.4) 孵化時における深胸筋のDNA濃度は著しく高いが,孵化後2週間に急激な減少を示した.DNA濃度の減少は6-8週令まで続くが,その後わずかではあるが増加が認められた.縫工筋のDNA濃度も,深胸筋とほぼ似た減少を示した.筋のDNA含量は,深胸筋,縫工筋とも,週令とともに増加し,成長にともない,筋線維の核分裂が超こることがわかつた.RNA濃度は週令とともに減少した.
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