乳牛泌乳量の年齢補正係数の有効性について
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概要
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乳牛の泌乳量の記録に対する年齢補正係数の適用が遺伝率の値にどのような影響を与えるかを,当該補正係数の有効性を評価する基準とみなす立場において,高等登録記録に対するわが国慣用の年齢補正係数の有効性を検討し,かつ,遺伝率をできるだけ大きくするためには,2年型,2年半型,3年型,3年半型検定に対してどのような係数が要求されるかを検討した.まず,高等登録牝牛を母娘の対としてとり出し,母娘の飼養農家の異同などによつて群分けした上,群ごとに,慣用係数による年齢補正を行なつた場合と行なわない場合の遺伝率の値を,父内母娘回帰の値を2倍する方法で推定した.結果は,i) 比較的大きなブリーダーの牛群や種畜牧場などにおける牛群内遺伝率推定値は,年齢補正によつて,大きな上昇を示した.ii) それぞれ異なる農家で検定された牝牛たちの記録における遺伝率の推定値は,水準的に牛群内遺伝率よりはるかに低く,また年齢補正による上昇が全く認められなかつた.次に,上記ii)のデータにおいて遺伝率(この場合,具体的には父内母娘回帰の値)を最大にするような年型別係数を求めた.その結果は,iii) このようなデータでは,遺伝率をできるだけ大きくするためには,2年半型の係数として,2年型の係数よりかなり高い値が必要とされる.これは,慣用係数において2年半型の係数の方が小さいことと正に対照的である.iv) 理由としては,2年半型検定牛が,2年型検定牛に比して,平均的に,不利な条件のものであるという傾向の存在が考えられる.このような傾向が,高等登録の記録に今後とも引続いて存在するならば,年齢補正係数の検討には,この点を充分考慮する必要がある.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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