体外受精に由来するマウス胚の発生におよぼすEDTAの効果
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概要
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体外受精由来マウス胚の培養では,ある種の近交系間のF1卵子に由来する胚以外は胚盤胞への発生率が低く,多くの胚が2細胞期で発生を停止する,本研究は,この点を改善するために培地へのEDTA添加の効果について検討した.またEGTAの影響も検査した.ICRの精巣上体精子を用いて体外受精を行ない,授精後6時間に前核期の胚をキレート試薬を含むWhitten培地へ移し換え,さらに114時間培養を続けた.ICR卵子由来胚の発生は,2.5-500μM EDTAの存在下で促進された.とくに20-100μMの濃度では90%以上の胚が胚盤胞へ発生した.一方,EDTAを含まない培地における胚盤胞への発生率は31%であった.F1卵子由来胚ではEDTAの有無にかかわらず90%以上が胚盤胞へ発生した.EDTAは,ICR卵子由来胚に対して授精後12時間までに添加された場合に効果が著しく胚盤胞への発生率は80%以上に達した.また授精後6時間から18時間EDTAで処理した場合,発生率が70%以上を示した.EGTAは胚の発生に対して効果を示さなかった,これらのことから,EDTAは授精後12時間から24時間までの初期胚に対して顕著に作用し,4細胞期以降への発生を促していることが知られた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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