樹姿を異にした茶樹の品種の仕立て法
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概要
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1 1976年3月に樹姿を異にする3品種(中間型のやまかい,直立型のやぶきた,開張型のかなやみどり)を供試し,2年生苗を単条(1,8m×0.3m)に定植し,早期成園化を図る仕立て法について検討した。<BR>2 取り上げた要因と水準は,(1)品種(上記の3品種),(2)定植時のせん枝位置(地上15cm,20cm,25cm),(3)2年目のせん枝位置(定植時のせん枝位置より5cm,10cm,15cm)で,直交表1<SUB>27</SUB>に割りつけて試験を行った。<BR>3 生育調査の結果,直立型のやぶきたは樹高の伸びがよく,株張りの拡がりは定植後3年目まではかなやみどりより遅いが,その後は,いずれの品種とも同程度であった。開張型のかなやみどりは,樹高の伸びは遅いが株張りの拡がりは早い。特に,定植後3年目までの拡がりが大きい。やまかいはやぶきたとかなやみどりの間にあるが,やぶきたに近い生育をする。<BR>4 10a当たり収量は,いずれの品種も株張りとの相関が高い。早期成園化を図るには,樹高と株張りのバランスを保ちつつ,早期に株張りを拡げる必要がある。<BR>5 せん枝位置を高くすると樹高も株張りも大きくなる。品種によもて,それらの比率は異なる。<BR>6 樹形の目安としての株張り/樹高の値を求めてみた。直立型のやぶきたは,仕立ての段階では小さくなり易く,開張型のかなやみどりは大きくなり易い。せん枝位置を高くすると,樹高や株張りは大きくなるが,株張り/樹高の値は小さくなる。<BR>7 やぶきたのような直立型の品種は,株張り/樹高の値は小さいので,その値をできるだけ大きく保ちつつ株張りの拡大を図るのがよい。定植時のせん枝位置を高さ15〜20cmとし,2年目のせん枝位置は,定植時のせん枝位置から10cm程度上げたところが適当である。<BR>かなやみどりのような開張型の品種は,株張り/樹高の値が大きいので,樹高は高めにして,株張りの増大を図るのがよい。定植時のせん枝位置を高さ20〜25cmとし,2年目のせん枝位置は,定植時のせん枝位置から10〜15cm上げたところが適当である。<BR>中間型のやまかいは,定植時のせん枝の位置を高さ20cm程度とし,2年目のせん枝位置は,定植時のせん枝の位置から10cm程度上げたところが適当と思われる。<BR>最後に,この試験を実施するに当たり,いろいろと御教示いただいた農業技術研究所物理統計部堀江正樹調査科長,試験設計研究室大塚薙雄室長,とりまとめに当たって,懇切なるご指導を賜った農林水産省茶業試験場中山仰栽培部長,茶樹第三研究室青野英也室長,また,試験に協力いただいた当場高林多門主幹高橋宇正技師,倉貫幸一技師,中部農業改良普及所谷博司技師に厚くお礼申し上げる次第である。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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