反すう動物における窒素摂取量と飲水量の関係 : とくに尿石症発生に対する影響との関連において
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概要
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尿素の経口投与は反すう動物の尿石症発生を抑制する効果があることが知られている.これは尿素のもつ利尿作用によるもので,尿素の利尿効果は血中尿素含量と関連があると考えられる.反すう動物においては,飼料からの蛋白質給与水準を高めても血中尿素含量が高まることが知られているので,尿素の代りに蛋白質を給与しても同様な効果がみられるのではないかと考えられる.そこでその点を確かめるため,尿量と関係の深い飲水量に対する尿素と蛋白質の添加効果を比較検討した.めん羊6頭を2頭ずつ3区に分け,1期21日よりなる3期について,ラテン方格による実験を行なった.1日1頭当たりの飼料給与量は,対照区では圧片とうもろこし600g,稲わら200gおよびミネラル•ビタミン剤20gであった.尿素区と大豆蛋白質区では尿素15gと精製大豆蛋白質50gをそれぞれ圧片とうもろこしにおきかえた.試験期間中は毎日飲水量を測定し,また終了時に第1胃内容液中のアンモニアと血清中のアンモニア,尿素,総窒素を経時的に定量した.めん羊の1日当たりの平均飲水量は維持程度の蛋白質水準の対照区では代謝体重当たり135mlと比較的少なかったが,尿素区と大豆蛋白質区では174mlおよび176mlと多かった.第1胃内容液アンモニア濃度と血清尿素濃度は対照区に対し尿素区と大豆蛋白質区で有意に高かった.しかし血清総窒素濃度は各処理区間で差異がほとんどなかった.このように反すう動物においては,蛋白質を多く摂取したときにも,尿素を摂取した場合と同じように血中の尿素濃度が上昇し,それが尿量を多くし,尿石症の発生を少なくする作用をもつものと考えられた.
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