緑茶用主要品種の特性について(第2報) : 定植2年目における分枝性の品種間差(第I群)
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概要
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第1報に引続き,1群に供試された13品種の定植2年目における分枝性について調査を行い,品種別仕立法の基礎資料を得ようとした。試験方法のうち,供試品種,試験場所,試験区等は第1報と同様であるが,本報における調査項目や調査方法は下記のとおりであった。<BR>すなわち,調査部位を地面上0〜20cmの高さの範囲内に限定して,まず最初に定植1年目の1株当たり主枝数と1・2次分枝数を調べ,次に定植2年目の一番茶期,二番茶期,秋の3回にわたって,さきの1・2次分枝数の推移(一番茶期は良芽,二番茶期は良新梢,秋は良硬化枝条のみを対象とした)と,私には樹高,株張りの他に樹形の指標となる株張り最広部位の高さ,1次分枝の着枝角度,頂・側枝長の比(1次分枝最長側枝長/樹高)についても調査を行ない,定植2年目での分枝性の品種間差を分散分析法により検討した。<BR>得られた結果の要約は下記のとおりりであった。<BR>(1)定植1年目の1株当たり主枝数については,試験1(2年生苗供試)の5品種間では平均値が1.30〜1.72本に変異していたが,その品種間差はみられなかった。しかし,試験2(1年生苗供試)の9品種間では6品種が1.00〜1.03本に変異し,地中での分枝がほとんどみられなかった(他の1品種おくみどりのみは1.1本)ので,地中分枝のみられたやぶきた(1.25本)及びさやまかおり(1.20本)との間に有意な差が認められた。<BR>(2)定植1〜2年目の1株当たり1次分枝数の推移については,まず試験1の5品種では,定植1年目(秋)の古枝数では差を認めなかったが,2年目では対照品種やぶきたにくらべて,かなやみどりととよかは一,二番茶期,秋ともに有意に多くなっており,一方あさつゆは二番茶期以降少なくなっていた。次に試験2の9品種では,さやまかおりのみは定植1〜2年目の各時期を通じて顕著に多く,おくみどりも2年目二番茶期以降有意にやぶきたよりも多くなっていた。しかし,反対にやぶきたよりも有意に少なくなっていた品種としては,2年目二番茶期以降のさみどりと1年目秋と2年目二番茶期でのやまかい,ここう,あさひ,こまかげなどがみられた。<BR>(3)定植2年目二番茶期においてのみ,1次分枝数の調査部位である地面上0〜20cmの高さの範囲を上位部(10〜20cm)と下位部(地面上0〜10cm)に二分して検討したところ,1次分枝数は試験1・2とも分枝位置(上位部と下位部)によっても差がみられ,また品種と分枝位置の交互作用にも有意性が認められた。<BR>(4)定植2年目秋に,樹高,株張り,株張り/樹高,株張り最広部位の高さ,その対樹高比,1次分枝の着枝角度,頂・側枝の長さの比などについて調査を行ない,これらの調査結果にさらにさきの1次分枝数や繁茂程度(第1報)のデータを加えて,主な品種の定植1〜2年目現在での樹形や分枝特性について検討し,下記のことを明らかにした。<BR>。かなやみどりの樹形は開張型で株張り最広部位は低く,1次分枝の数も多く又その伸長も良いので,株張りや繁茂程度がすぐれていた。<BR>・ゆたかみどりの樹形は中間型で株張りがすぐれ,とくにこの品種の特性として樹高に対する側枝の伸長の良好なことがあげられた。<BR>・やぶきたは2年生苗定植の場合,地際部(地面上0〜10cm)での1次分枝数(伸長が良い枝)が少なかった。<BR>・さやまかおりは繁茂程度,1次分枝数(伸長の良い枝),株張りなどでやぶきたよりも顕著のに勝った。<BR>・おくみどりの樹形や枝条の状態はよくやぶきたに似ていたが,地際部(地面上0〜10cm)での1次分枝数(伸長の良い枝)は明らかにやぶきたよりも多くなっていた。<BR>本研究のとりまとめに際し,元国立遺伝学研究所応用遺伝部長,元鹿児島大学教授酒井寛一博士には,種々ご懇篤なご指導と,さらに本稿のこ校閲も頂いたことに対し深甚の謝意を表する。また関係府県より,地方適否試験関係の文献をご提供下さった三重県農技センター・茶業センター池田敏久栽培研究室長,京都府立茶業研究所植田和郎技師,宮崎県総合農業試験場茶業支場上野貞一場長並びに鹿児島県茶業試験場嶽崎亮栽培研究室長の各位に感謝申し上げる。
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