緑茶用主要品種の特性について(第1報) : 定植1,2年目における活着と生育程度の品種間差(第I群)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1 わが国の緑茶用主要13品種を供試して,鹿児島県姶良郡溝辺町における品種特性ならびに地方適<BR>応性を知る目的で,1987年より試験(第I群)を開始した。本報では,まず定植1,2年目における活着と生育程度の品種間差について報告する。<BR>2 得られた成果の要約は下記のとおりであった。<BR>(1) 定植1,2年目の活着率は,すべての品種が90%以上で高く,品種間差もなかった。<BR>(2) 定植1〜2年目の越冬率は,試験1の,凸あさつゆのみがやぶきたを除く他の3品種にわずかに劣った。<BR>(3) 定植2年目の補植率は,試験2,でのみ品種間差がみられ,さやまかおりのみは補植率0%で補植率の比較的高かったあさひ(22.2%),さみどり(16.6%),やぶきた(12.2%)などと顕著な差がみられ,またおくみどり(2.2%)もあさび,さみどりと顕著な差(1.0%の危険率で有意に)がみられた。<BR>(4) 定植1,2年目の生育程度の品種間差では,試験1ではあさつゆのみが,一番茶期の芽立が不良で二番茶期の繁茂程度も悪く秋の生育程度も樹高,株張り,繁茂程度などすべて他の4品種に顕著に劣った。しかし残る4品種の生育はいずれも良好で二番茶期の繁茂程度では品種間差はなかったが秋にはかなやみどりやとよかがやぶきたよりも勝った。なお秋の株張りではゆたかみどり,かなやみどり>とよか>やぶきだの順に有意差がみられた。<BR>(5) 試験2では,一番茶期新芽立ちの良好であったさやまかりがその後もすべての形質で他の品種に顕著に勝り逆に新芽立ちの不良であったさみどりが最も劣ったが,この傾向は両品種ともとくに秋の株張りによく現われていた。なお秋の樹高の品種間差の検定の結果はあさひを除きさやまかおり>こまかげ・やぶきた・おくみどり>うじひかり・やまかい・さみどり・ここうをほぼ群別できるように思われた。<BR>本研究の取りまとめに際し,関係府県より地方適否試験関係の文献をご紹介下さった三重県農業技術センター 茶業センター 池田敏久栽培研究室長,京都府立茶業研究所 植田和郎技師,宮崎県総合農試茶業支場 上野貞一場長並びに,鹿児島県茶業試験場 嶽崎亮栽培研究室長の各位に対し深甚の謝患を表する。
- 日本茶業技術協会の論文
日本茶業技術協会 | 論文
- 玉露園における点滴施肥による施肥量削減 (茶業研究報告第100号記念特集 茶園における窒素負荷の現状と低減化技術の開発) -- (第2部 施肥削減技術)
- 煎茶園における点滴施肥による効率的施肥 (茶業研究報告第100号記念特集 茶園における窒素負荷の現状と低減化技術の開発) -- (第2部 施肥削減技術)
- 製茶工程診断エキスパートシステムの開発
- ほうじ茶の香気に関与する成分の分析
- 揉捻工程における茶葉の細胞内および細胞外抵抗と細胞膜・壁の静電容量