乾燥および凍結牧草給与子牛の第一胃内揮発性脂肪酸の産生について
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概要
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青草と乾草給与時の第一胃内における揮発性脂肪酸(VFA)の産生および吸収能の違いを明らかにする目的で,同一時期,同一圃場より刈り取った牧草を2分し,一方は,火力乾燥し,他方は凍結保存したものを用いて試験を行った.第一胃フィステル装着ホルスタイン雌子牛22頭に,各々の飼料を給与し,ポリエチレン•グリロールと14C-酢酸ソーダの一回投与法により,第一胃内におけるVFA産生,吸収速度などを測定した.1) 高温乾燥した場合には,青草と比較して,粗蛋白,可溶性無窒素区分の消化率の低下が認められた.2) 第一胃内pHは青草給与区の方が低い傾向にあったが,VFA濃度では差が認められなかった.VFA組成については,酢酸は乾草給与区の方が高く,イソ酪酸,イソ吉草酸,吉草酸は青草給与区の方い高かった.3) 第一胃内容液量とVFA吸収速度には飼料間の差は認められなかったが,乾物摂取量当りの第一胃内容液流出量は青草給与区の方が有意に高い値を示した.4) 摂取した可消化エネルギー中に占める第一胃内産生VFAの割合は青草給与区が63%,乾草給与区が55%で,青草給与区の方が高い値を示した.5) 可消化乾物摂取量と第一胃内VFA産生量とは非常に高い相関を示し,全体として,y=10.21x+0.12(r=0.97,n=22)の関係式が得られた.x;可消化乾物摂取量(kg/日),y;第一胃内VFA産生量(mole/日)
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