体外精子の生存ならびに代謝に影響ある卵黄中の有効成分に関する研究 : II. 卵黄の透析性成分の精子生存性に及ぼす影響
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概要
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山羊および牛の精子を用いて,精子の生存延長に対する卵黄の透析部中の有効物質を明らかにすることを目的として実験を行ない,つぎの成績が得られた.1. 卵黄の透析部に含まれる有機物質は,主として遊離の糖およびアミノ酸で,後者にはアスパラギン酸,グルタミン酸,アルギニン,グリシン,セリン,スレオニン,アラニン,バリン,フェニールアラニン,プロリンおよびヒスチジンなどが含まれる.2. 市販の17種のアミノ酸標品を用い,山羊および牛精子の生存に対する影響をしらべた結果,山羊精子に対してはグリシン,L-プロリン,L-バリンおよびL-セリンがわずかではあるが良好な影響を示したが,牛精子に対してはとくにすぐれたものは見いだされなかった.3. グリシン,L-プロリン,L-バリンおよびL-セリンの4種をいくつか組合せて添加すると組合せるアミノ酸の種類が増すほど山羊精子の生存は延長される傾向が認められた.4. 卵黄の透析部分に含まれるアミノ酸11種とブドウ糖を混合添加することによって,透析部添加の場合にかなり近い生存延長が認められた.5. 以上の成績から,山羊精子の生存延長に対する卵黄の透析部の有効作用は,この部分に含まれる主としてブドウ糖および各種アミノ酸の復雑な相互協力に基づくものと推察された.
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