蜜蜂における王蜂の卵管数に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
蜜蜂群のしめす集蜜能力はその蜂群内外の種々の条件によつて支配されるものであるが,特にその蜂群の蜂群勢と密接な関係を有することは従来の多数の実例によつて明らかであるが,この蜂群勢を支配する要因としては王蜂の産卵力如何が忘れることのできないものであり,さらに王蜂の産卵力はその王蜂の卵管数の多少と密接な関係を有するものと考えられる。したがつて王蜂の養成•更新の際には卵管数の多い王蜂を目標におこなうべきものであるが,その選定の指標となる適当な形質が見いだされておらず養蜂家の所謂勘によつていたものであるが,卵管数と相関を有する形質の検索の結果,王台の比較的大きいもの,さらにそれから出房した処女王蜂の中で出房直後の体重の大なるものを撰定して交尾王蜂に供することもその効果が期待できるが,さらにこれらの手段のほかに処女王蜂の口吻長の短いものをえらぶことは一層その効果を挙げうるものであることが判つた。また,卵管数と口吻長との間にみられるたかい負相関の関係はかなり生理的な面からくるものと考えられ,したがつて卵管数の多い王蜂がその生産する働蜂の口吻長をいちじるしく短くすることも考えられない。さらに,口吻の全長と卵管数との間の負相関は口吻のなかでもその先端に最も近い部分である"Glossa"の部分の長さと卵管数とのそれと同程度であり,したがつてその処女王蜂個体を殺さなくとも"Glossa"長の測定によつて充分の用が足りるわけであり,今後優良な処女王蜂を選定して交尾王蜂に供する際の有力な指標となるものと考えられる。