ウシのBシステムの血球抗原,G1,G2,Gxの免疫学的相互関係
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概要
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ウシのBシステムにおいて対称的亜型を示すG血球抗原群(G1,G2,Gx)の免疫学的関係を,同種免疫による抗体産生能と抗血清の吸収試験により調べた.また,これまでわが国になかった抗-G1抗血清を新たに作成し,G抗原群の発現の遺伝的単位の確認を行なった.1) G抗原群の発現の遺伝的単位としてG1G2 (G1とG2抗原をもつもの,以下同様),G2Gxおよび"-"型のほか,新たにG2型が見出された.2) 抗-G1抗体は,G1G2型血球を"-"型のウシに免疫することによって産生され,単離された抗血清は標準血球により抗-G1であることが同定された.この抗血清は,G2Gx型の一部に弱い交叉反応を示した.抗-G2および抗-Gx抗体は,G2Gx型の血球を"-"型のウシに免疫することにより産生された.抗-Gx抗血清はこの未吸抗血清をG1G2あるいはG2型血球で吸収することにより単離された.また,通常の抗-G2抗血清は抗-(G2+Gx)の組成であることがわかった.3) 抗-G1抗血清は,G1G2,G2GxおよびG2型血球による吸収で抗体活性を失った.すなわち抗-G1抗体はG1G2型血球のみを溶血させるが,G1あるいはG2抗原をもつすべての血球と結合することが判明した.抗-G2抗血清はG2抗原をもつすべての型の血球と結合し,これらを溶血させた.抗-Gx抗血清はG2Gx型血球とのみ結合し,これを溶血させた.4) G1とG2およびG2とGx抗原の関係を,遺伝的な発現様式から比較すると,G1とGxはいずれもG2の存在下ではじめて出現する対称的亜型の関係にあった.しかし免疫学的にはG1とG2は交叉反応を示す類似した抗原構造であり,一方G2とGxとの間には抗原的に明確に区別できる差異が存在していた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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