超音波スキャニングスコープによる肉用牛生体における皮下脂肪厚,胸最長筋横断面積および脂肪交雑の推定
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概要
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わが国の枝肉取引あるいは,肉用種の産肉能力検定において皮下脂肪厚,ロース芯面積および脂肪交雑は,枝肉評価の基準として用いられる重要な経済形質である.こさらの形質に関する情報を生体のままで入手する方法として,超音波スキャニングスコープによる推定方法について検討した.55頭の黒毛和種去勢牛を試験材料とし,測定部位ならびに解析者の効果について検討した.その結果,胸最長筋横断面積についての第10〜11あるいは第12〜13肋骨間に比べ,第5〜6あるいは第7〜8肋骨間で測定した方が,より正確に推定できること,超音波推定値の解析者による差の平均値は,皮下脂肪厚で0.04mm(第5〜6肋骨間)と0.72mm(第7〜8肋骨間),胸最長筋横断面積で0.31cm2(第5〜6肋骨間)と0.78cm2(第7〜8肋骨間),脂肪交雑で0.17(第5〜6肋骨間)と0.15(第7〜8肋骨間)であり,2名の解析者による各部位推定値は,いずれも有意な相関関係を示したことから超音波スキャニングスコープは,皮下脂肪厚,胸最長筋横断面積および脂肪交雑を生体のままで推定する1つの有効な手段であると判断された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文