水分活性変化にともなうミオシンBならびに筋原線維ATPaseの失活とミオシンATPaseの脱水失活に及ぼす蔗糖の効果
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概要
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水分活性の変動にともなうミオシンBと筋原線維の失活度合をATPase活性を目安にして調べた.ミオシンB及び筋原線維ATPaseは脱水により失活し,その度合は多分子層(水分活性=0.55)に到達するまで増大する.さらに水分活性が低下して単分子層に移行すると,失活度合は逆に減少する.ATPase活性の最大減少度合は,水分活性0.55におけ.約50%であった.種々の脱水水準にある筋原線維をSDS-ゲル電気泳動法により調べてみると,ミオシン重鎖の蛋白質分解反応による崩壊が明らかに認められた.このことは本標品が固有の筋肉蛋白質分解酵素により汚染されていることを示すものである.しかし,単離されたミオシンやミオシンBはミオシン重鎖の分解を示さなかった.これらのことから,脱水過程で認められた筋原線維のATPase活性の変化は,ミオシンATPase活性点近傍における構造変化を反映するものと考えられる.また,この脱水に由来する失活反応の完全な抑制に必要な蔗糖の最低濃度は0.05Mであることが判明した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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