海岸地帯で生産される茶のナトリウムイオン濃度 : 添加茶判別指標からみた問題点
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概要
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添加茶判別時の指標とされるNa<SUP>+</SUP>濃度の測定値について,静岡県,鹿児島県,愛知県で生産された茶芽及び煎茶を試料とし,海岸からの距離を視点にした調査を行った結果,以下のような知見が得られた。<BR>(1) 静岡県の沿岸部,中間部,山間部で生産される茶芽のNa<SUP>+</SUP>濃度の間には,統計的に有意差が認められた。<BR>(2) 沿岸部で生産される茶芽では,添加茶の指標とされるNa<SUP>+</SUP>濃度を超えているものが見受けられた。<BR>(3) 鹿児島県産煎茶のNa<SUP>+</SUP>濃度についても,静岡県の茶芽と同様に,沿岸部,離島のものは高く,山間部のものは低い傾向があり,種子島産の煎茶では指標値を超えているものがあった。<BR>(4) 従って,沿岸部で生産される茶については,添加の有無をNa<SUP>+</SUP>の測定により判別することは不可能であり,グルタミン酸とテアニンの比率など,他の観点による判断が必要であると考えられる。<BR>(5) 茶芽中のNa+濃度は,降雨により著しく低下することが認められ,Na<SUP>+</SUP>濃度が高い原因は海水の飛沫の付着によると推測された。<BR>(6) 茶園土壌のナトリウム含有量については,海岸からの距離による差は認められなかった。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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氏原 ともみ
独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構野菜茶業研究所
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中川 致之
株式会社佐藤園
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森藤 富士雄
株式会社佐藤園
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陳 風雷
株式会社佐藤園
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橋本 実千代
株式会社佐藤園
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山下 太市
ハイナン農業協同組合南榛原営農センター
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山下 太市
ハイナン農協営農部南榛原営農センター
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氏原 ともみ
独立行政法人農業技術研究機構野菜茶業研究所
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氏原 ともみ
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所
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