リピドラフトは ABC トランスポーターを介した腫瘍細胞の薬剤耐性に関与するか?
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概要
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発見以来リピドラフトは,極性のある細胞でのタンパク質の輸送やシグナル伝達など,さまざまな細胞機能との関連が示されてきた。また多剤耐性において,リピドラフトに ATP 結合カセット(ABC)トランスポーターが局在することが重要なのかもしれない。この特異的な局在が,ABC トランスポーターが薬剤排出ポンプとして活性があることを支持している可能性があり,このことがリピドラフトを構成する分子に対する依存性に関する重要な問題を提起している。この点に関して,2 種類の脂質の関与がすぐ思い浮かぶ,即ちスフィンゴ脂質とステロールの両脂質がリピドラフトの形成と維持に重要であると一般的に考えられている。膜脂質二重層における側方相互作用は別にして,膜二重層を横断する相互作用が ABC トランスポーターの位置と機能において重要な役割を果たしていると考えられる。実際,アクチン細胞骨格が特定の膜領域での ABC トランスポーターの位置の安定化に役立っているという幾つかの証拠がある。ABC トランスポーターは直接あるいはリピドラフトを介して間接的にアクチン細胞骨格と会合しているのかもしれない。このレビューでは,ABC トランスポーターがその機能において特定の膜環境に依存するのか,そしてこの依存性を発揮するためにリピドラフトのどの構成分子が必要であるかについて評価していく。
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